薪小屋があることのメリット
・薪を早めに購入して、ひと冬分の薪を確保しておけば、安心できる。
・乾燥が未熟な薪でも、保管しながら乾燥させることができる。
・未乾燥の薪は、割安で購入できる。
・自分の都合で、好きな時に薪を製作できる。
・なんといっても、薪が積まれた景観が絵になります。
![製作する薪小屋](KIMG0019.JPG)
では、この薪小屋で説明します。
容量:約8トン(軽トラック16台分)
収納目安:長さ46センチ薪が奥行き4列 36センチ薪が奥行き5列
薪小屋のサイズは、奥行き184センチ、幅650センチです。
大きすぎると思いますので、各自必要な容量に縮小して設計してみてください。
1.薪小屋製作の場所選定
「日当たりが良く」て、「風通しの良い」場所が理想です。さらに可能ならば「湿気の少ない場所」、「家から少し離した場所」、「車からの搬入が容易い場所」
![薪小屋の場所選定](KIMG1285.JPG)
2.薪小屋の位置決め
薪小屋を建てる場所に目印をつけます。杭を打っても良いし、水糸 を張っても良いし、整地する部分を空けて目印をしてくださいね。
![薪小屋の位置目印](KIMG1324.JPG)
3.整地
鋤簾(じょれん)で少しずつ土を削っていきます。 削り過ぎて土を戻すと圧縮幅が違って水平がとりにくいので、ゆっくり・丁寧に
鋤簾(じょれん)
地面の平らを見るのには、水平器 を使います。 土を鋤簾で削り、その上にまっすぐな木材か単管パイプを置いて、 水平器 を上にあて、水平を見るを繰り返し全体を整地します。
水平器(長さ30センチ位が良)
水平がとれていないと上物(薪小屋)にもズレが生じて、 そのズレがズレを生みますので、整地には手を抜かないようにしてください。
4.基礎
重量に耐えるように土台となる 沓石 を設置します。
そして、その下に重さで沈み込まないように コンクリート平板 を設置します。
沓石 コンクリート平板
今回は、縦3列、横8列に沓石を配置しますので、薪小屋の縦方向の中心(2列目)に横方向に水糸 を張って90センチ間隔を計りながら、その中心に平板を配置していきます。
水糸
中心の横8列の平板の配置できたら、縦2列目のコンクリート平板の平面に木材などを沿わして、縦の1列めと3列目を設置します。薪小屋の縦幅が184センチなので、逆算して平板の間隔47センチ間隔で平板を設置します。
これで、基礎部の位置が決まりました。
コンクリート平板の中央に沓石を載せていきます。 沓石の下面に突起部ある場合は、位置調整かハンマー等で軽く叩いて安定を確保してください。(多少のグラつきは良しとしましょう)
5.単管パイプの設置
沓石の凹部に単管パイプを載せます。 単管パイプを2本つなげるときは、ジョイント を使用します。
ジョイント
だいたい3本の単管パイプの幅が揃うと思いますが、曲がっているようならば 若干沓石をずらして通りを目視で慎重に調整してください。
![単管パイプ設置](KIMG1315.JPG)
6.床台木の取付
安価な ツーバイフォー材 の12フィート(365.76センチ)を 丸ノコ で半分に切る。
ツーバイフォー材 丸ノコ
(丸ノコがなければ 手ノコ で切るか、6フィートを購入)
手ノコ
半分(6フィート)になったツーバイフォー材を単管パイプへの取付は、垂木止めクランプの直交 を使用します。
そして、垂木止めクランプのネジを ラチェット で締めます。
垂木止めクランプ ラチェット
床の台木(ツーバイフォー材)の上にのせる べニヤ板 の両端が弱くならないように ベニヤ板 の継ぎ目は、ツーバイフォー材が2本並ぶように配置します。
ベニヤ板
![垂木止めクランプ取付](KIMG1322.JPG)
このクランプの上にツーバイフォー材を置いて2ヵ所の穴に インパクトドライバー を 使って コースレッド(ビス) で止めます。
インパクトドライバー(充電式) コースレッド(ビス)
ツーバイフォー材の長さが若干ずつ違うのでツーバイファー材の中心に 角尺(かくじゃく)で目印をつけて、そこが単管パイプの真ん中にくるように 合わせて取り付けます。
角尺(別名:さしがね)
![ツーバイフォー材と単管パイプの取付1](KIMG1338.JPG)
すべての取付が終わると次のようになります。 (ベニヤ板両側部分のツーバイフォー材を二重にしていない状態)
![ツーバイフォー材と単管パイプの取付2](KIMG1335.JPG)
7.床板スカート部の取付
床木のツーバイフォー材の両端を囲うようにツーバイフォー材を取り付けます。 その上側にベニヤ板を貼りつけることになります。
![スカート部の取付の写真](KIMG1564.JPG)
8.床板ベニヤ板の取付
床木をすべて取り付けたらその上にベニヤ板を貼り付けていきます。
片面が防水塗装されているベニヤ板の防水面を下側にして取り付ければ下からの湿気を防ぎ、床板の耐久性も伸びるでしょう。
そして、ベニヤ板を貼り付けると半端な隙間ができるので、ベニヤ板を丸ノコ等で加工して床面全てに貼り付けます。
9.柱と薪小屋の骨組み
薪の重さで柱が広がらないように床板の両端に桟木を打ち付けます。
![両端の桟木打ち付けの写真](KIMG1932.JPG)
そして、柱ですね。ツーバイフォー材をダブル(二本を抱合せ)にして使用します。 その二本の片方上部を9センチ短くします。これは柱上で横木を組合わせるためです。
![ツーバイフォー組み合わせ](KIMG1969.JPG)
屋根に勾配をつけるため、奥行き3本の柱のそれぞれの高さを 10センチ〜20センチの範囲で長さに差をつけます。
![柱の勾配](KIMG1928.JPG)
すべての柱の本数・長さを計算して、ツーバイフォー材を丸ノコ等でカットします。
カットする本数が多いので訳が分からなくならないように区別して置きます。 そして、二本のツーバイフォー材を、引寄せビス(木の隙間ができても引寄せることができる)で止めて柱を作っていきます。
引寄せビス
そして柱の固定は...
床板の柱を設置する位置に目印をつけ、その柱を挟むようにツーバイフォーを貼付けます
![柱間の桟木の写真](KIMG1937.JPG)
そこに柱を差し込むと仮に柱が建つはずです。 その状態で柱と床木に斜めに引寄せビスを打ち込み柱を仮固定します。
![柱の設置](KIMG1950.JPG)
すべての柱を同様に建て、先に説明した9センチの凹部に柱の位置に横木 (ツーバイフォー材)をあて、中心の柱のビスを止めてから、水平器で垂直を見ながら 上部の横木をすべて止めていきます。
ここで、すべての柱の垂直と横木の水平をチェックしてください。
![横木の取付](KIMG1965.JPG)
今度は、横三本の柱を縦方向に固定します。横方向の横木と同じように 垂直を見ながら固定していってください。
![横三本の柱を縦方向に固定](KIMG1975.JPG)
10.屋根の骨組み
縦方向のツーバイフォー材の上に屋根を打ち付ける桟木を取り付けます。
![屋根桟木の取付](KIMG1996.JPG)
桟木を均等(55cm以内)に配置して、これをインパクトドライバーで、ビス止めしていきます。不安定な場所での作業になるので転落など、注意して作業を行ってください。
11.斜め木の取付
薪小屋の後ろ面4ヵ所に斜めに支え木を入れます。
これを入れることでがっちりします。
![後ろ面斜め木](KIMG2041.JPG)
薪小屋の側面2ヵ所に斜めに支え木を入れます。
![側面斜め木](KIMG2015.JPG)
斜め木を入れる箇所の斜めの長さをスケールで計ってツーバイフォー材を少し長めに切って、そのツーバイフォーを直接あてがって角に収まるように加工して取り付けてください。(いわゆる現場合わせ・・・ですね)
もし加工が大変でしたら、べた張りでもいいですよ。
前側にも支え木を入れます。 ここは薪の搬出入の場所なので上方の角に取り付けます。
![前方の斜め木](KIMG2014.JPG)
斜め木を入れることで薪小屋の強度がぐっと上がります。 (上手につくると鉄棒のようにぶら下がって振ってみても揺れません)
12.屋根の取付
さあ、屋根の桟木の上にポリカーボネート波板を取り付けます。
![ポリカーボネート波板の取付](KIMG2020.JPG)
ちょっと難しいのが薪小屋にまっすぐ波板を沿わして固定することですが多少のずれは気にしないで取り付けましょう。
しかし、ズレは最小限にとどめたいものです。屋根に固定した桟木の端に余っている木を仮止めして水糸を張って直線を出します。そして一枚目の波板を取り付ける際に薪小屋(縦)と水糸(横)が直角になっているか角尺で確認すればの大きな誤差でないはずです。
![波板取付の水糸の写真](KIMG2001.JPG)
また、波板の重なりの上下やビスの間隔など一定の基準があるのでホームセンター等で確認して作業を始めてくださいね。
そしてポリカーボネート波板の取付です。波板に直接ビスを刺すと滑るので、波板を固定位置に合わせビスを打ち付ける箇所にあらかじめ 波板キリ で穴をあけます。
波板キリ
波板キリであけた穴にビスと亀座、白スポンジをセットしたものをインパクトドライバーで止めしていきます。
![亀座と白スポンジのセット](KIMG2022.JPG)
白スポンジ 亀座
重なりと通りに注意しながら、ポリカーボネート波板をすべて取り付けます。
![屋根の取付完了](KIMG2043.JPG)
13.仕切り板の取付
そして、次は薪小屋内部を仕切る4部屋の三分板を貼りつけます。
三分板
柱と柱の間に柱の面に合わせて三分板を張り付けます。そのためには三分板の上下に打ち付ける場所がなくてはなりません。
そこは適当に(ここまで薪小屋の作成ができたならできますよ)
![三分板の取付](KIMG2054.JPG)
14.雨樋の取付
雨どいの取付は、薪小屋の設置環境によって異なります。
屋根の雨が直接地面に落ちても跳ね返りで薪が影響がないようなら必要はありません。 跳ね返りで薪が汚れたり濡れるのが気になるようでしたら、雨どいを設置してください。
雨どいの設置は、簡単で屋根の桟木や貼り付けた板に金具を取付けてその上に雨どいをはめ込む要領です。
雨どい用の板
雨どい金具
雨どい金具は色々なタイプが販売されているので、それぞれの薪小屋に合った金具を探すと良いでしょう。
雨どいも、色々な太さや接続パイプがあるのでお店の人と相談して購入すると良いのですが、雨どい一式を買うと薪小屋としては出費が大きいかもしれません。 「那須の薪」の場合、薪小屋の横が溝になっているため、横方向の雨どいだけをを伝って滝のように溝に流れ落ちるようになっています。
雨どいの設置
仕上がりこんな感じになります。
![A hut finish1](KIMG2065.JPG)
![A hut finish2](KIMG2060.JPG)
ここまで読んでいただいてありがとうございます。 たいへん長い説明でしたが参考になったでしょうか?
頑丈な薪小屋のマニュアルなので、必要ないところは省いてください。
やり始めてみれば意外と出来てしまうものです。薪小屋作りがんばってくださいね。
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